NECと成田国際空港は13日、顔認証技術を活用して「顔パス」での搭乗手続きなどを可能にするシステム「Face Express」の実証実験を始めた。国際線の旅客は搭乗手続き時に顔情報を登録すると、その後の保安検査などで搭乗券やパスポートを提示する必要がなくなる。旅客の利便性を高め、感染症対策にもつながるとしている。
羽田空港の国際線でも同様のシステムを導入し、両空港で7月から本格運用を始める。成田空港では自動チェックイン機のカメラで顔画像を撮影し、パスポートの顔写真と照合する。その後は手荷物の預け入れや保安検査、搭乗ゲートの通過時などで、パスポートや搭乗券の提示が不要な「顔パス」での手続きが可能になる。登録された顔情報は一定時間経過すれば消去されるという。
成田空港で実証開始時に顔認証に対応する航空会社は日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の2社。今後は他の航空会社にも利用を広げていく考えで、旅客のスムーズな搭乗手続きを促し、接触機会を減らして感染症対策につなげていく。
同日のデモンストレーションに出席したNECの林良司執行役員は「快適な空港での経験を世界中の方に提供する。同様の顔認証システムは街中やオフィス、イベントなどにも広がっていく」と強調した。当初は2020年夏の東京五輪・パラリンピック前の運用を目指していたが、コロナ禍の影響などで延期となっていた。